損益計算書には、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの利益があります。その中で純利益、経常利益、営業利益の3つの利益は、上場会社においてはその会社の指標にもなる大変重要な数値です。ただ、実際にこれらの利益がどういうものなのかというと、なかなか明確にどういうものかということを言える人はそれほど多くないと思います。でも、これらの数値は会社を経営していく上で大変重要なものになりますので、以下、解説したいと思います。

営業利益とは

ものを売る場合には、何かしら経費がかかります。例えば、飲食店を経営して居る場合には、お店の賃料の他に、アルバイト代、お店で使う水道代、電気代、電話代やインターネットを使っているということもありますよね。このように売上をあげるためにかかる費用のことを販売費及び一般管理費といいますが、営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益のことを言います。ちなみに営業総利益とは何かというと、簡単にいいいますと粗利益のことを言います。この場合粗利益とは何かというと、商品の売上から売上原価を差し引いたものになります。

では、販売費及び一般管理費にはどういう物があるのかというと、
・人件費(給料やボーナス)
・オフィスや店舗の賃料
・通信費
・水道光熱費
・広告宣伝費
・接待交際費
・保険料
・交通費
・消耗品費
なお、販売費及び一般管理費には、仕入れなどの取得費は含まれません。仕入れは売上総利益の売上原価に含まれます。

経常利益とは

経常利益というキーワードは、色々なところで耳にすると思いますが、経常利益はとても重要な利益になります。では、経常利益とはどういう利益なのかお話をします。

営業利益というのは、前項でもご案内しましたように本業の売上からその売上に係るコストを差し引いた利益のことです。一般的に企業においては本業以外から収入や支出があります。例えば、本業がIT関連であっても、自社ビルの一部を賃貸に出している場合には賃料が入ってくると思いますが、そのためには賃貸収入に関わるコストが当然かかってきますよね。このように本業以外の損益を営業外収益・営業外費用と言うのですが、経常利益は営業利益から本業以外の損益を加えた利益です。ではこの際の営業が収益にはどういう物があるのかというと、
営業外収益は、
・受取利息
・受取配当金
・有価証券売却益
・その他
営業外費用は、
・支払利息
・有価証券売却損
・有価証券評価損
・その他

営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益

営業利益と経常利益の関連性について

以上のように営業利益の場合は、算出がとてもシンプルですが、経常利益の場合は営業利益に営業外収益を加えた数値から営業が費用を差し引いたものになるので、やや複雑になります。そうしますと、営業利益が赤字だけれども、経常利益は黒字であったりということもありますし、逆に営業利益が黒字なのに経常利益は赤字であるということはよくあることです。これらはどういう意味があるのかというと、前者の場合は、本業は赤字であるものの、事業全体としてはスムーズに進んでいる状態で、後者の場合は、本業は好調なものの、それ以外の部分が足を引っ張っているという状態になります。そのため、前者の状態になっている場合には、営業利益が赤字なので、本業にビジネスとして課題があるということになるので、会社のサービスや取扱商品、その他収益体制を見直さなければならないという分析ができます。一方で後者の場合は経常利益が赤字ということは、会社として資産運用が失敗しているか、借入金の負担が大きくなっているということなど可能性があるので、営業外活動の現状をしっかり分析する必要があるということになります。

純利益とは

当期純利益は、会社が最終的に稼いだ利益です。税引前当期純利益から法人税や都道府県税などを差し引いた数字が当期純利益となります。

当期純利益=税引前当期純利益-税金